先月、兄は9000億円の赤字を出した会社を辞職して
個人投資家になってしまった。


私は実のところ株をやっている人間を軽く見ている。
彼らは幸運を自分の実力と思い、不運を直視しない人種だという偏見を持っている。


そもそも株なんてものは予測不可能な博打である。
そして株をやる人は、馬券の予想屋みたいな人たちだ。


大量のデータをいたずらに分析し、血統だの肉付きだの理屈をつけて、時には怪しげな理論を持ち出し、当たり馬券を予想する。
当たれば自分の先見の明を誇り、大いに自己顕示欲をつのらせ、
外れれば、外れた理由をもっともらしく分析して、延々と言い訳をしゃべり続ける。
その実、確率や偶然を越える的中率を出すことは決してない。
的中の理由はただ一つ「幸運」であることを彼らは絶対に認めない。


株をやっている人は、そんなダメな博打打ちのような人間ばかりだと私は思い込んでいる。
そしてその偏見は、多くの事例を見るにつけ強化されるばかりだ。


「胴元になれない博打はするな」と私は教えられてきた。
私は兄にダメな博打打ちにではなく、しっかりした胴元になって欲しい。


そのためには私もできることをしようと思う。
今まで準備した全てのものを使うときが来たようだ。