何かをする前に(1)

(前回までのあらすじ)
私は思わぬところで200万円相当の株券を手に入れた。
私はそれを使って何かをしようと思うのであった。


しかし、200万円という金額は、何かするためには少なすぎる金だと思えるのである。


何かをしたいと思うのならば、まず組織を作るか、属するかしなくてはいけない。
何故なら現代社会では個人でできることはあまりにも少ないからだ。
たとえ孤高の芸術家や天才科学者であったとしても、その活動を支える団体がなくては何もできないであろう。
「何かをする=組織を利用する」
これは議論の前提であり、疑う必要のない公理とみなして以下の論を展開したい。


もっともありふれた組織といえば、それは企業であろう。
では何かをしたい私は企業を作るべきだろうか?
だが作るまでもなく、昨年まで私は会社を経営する側の人間だった。
(それが廃業して私は派遣社員になったわけである)
そしてそのときに雇っていた収益につながらない見習いでさえ一年間雇用するには400万円の経費を必要とした。
(本人への給料以外に税金や教育費用や機材代を含む)
私たちは零細企業でしかなかったにも関わらず、それを一年間維持するには4300万円が必要だったのだ。


そして今の私の手元にあるのは、わずか200万円。
企業を作っても半年と維持できまい。


ならば企業に属すればいいのかもしれないが、そうなると目的を自由に選べなくなる。
社員は経営者の設定した目的を実現するための「手段」でしかない。
何かをするのではなく、何かをさせられるのである。
その代わり給料がもらえるのだから有り難い限りではあるが、「何かをする」という本題からは外れてしまう。


企業がダメなら維持費がかからない組織を利用するしかない。


同好会
相互扶助会
チーム、暴走族、特定連合

福祉団体
宗教団体
右翼団体
左翼団体
暴力団



さて、どれにしたものやらである。