何かをする前に(1)の補足

前回までのあらすじ)
200万円を手にした私は何かをしようと思った。
しかし会社を作るのは無理だと思うのであった。


会社組織を維持するには、それがどんな小さなものでも数千万円規模の大金を必要とする。
私の会社の場合は、一番若い社員でも年400万円の経費を必要とした。


他の会社、特に大きいところはどれくらいの経費をかけているのかを知りたいと思い、私が現在派遣されている某大会社の経費を調べてみた。


結果だけを書くと以下の通り。
私の派遣先の会社は一人あたり月100万円の経費を使っている。つまり年1200万円だ。
やはり零細企業とは桁が違う。
従業員一人につき私の会社の三倍の経費が投資されている。
ちなみに、その1200万円のうち給料に当てられるのは二割から三割程度で、他はパソコン、机などの備品代、電気代、ソフトウェアのライセンス料、交通費、居住費補助、税金、保険に使われていた。


企業の経営者が「最近の若者はすぐ辞めてしまう」と愚痴を言うのをよく聞くが、彼らが辞めてしまうことで彼らに投資した数百万円の金額が無駄になるわけだから、その心情も分からないではない。
(購入したパソコンや机は使い回せるから損害が小さいと言う人もいるが、パソコンやソフトウェアは進歩が早く、二、三年で価値が下がってしまう。つまり減価償却の速度が速く、その資本価値の下落率が高い。結局、次の新入社員には使い古しではない新しいパソコンと新バージョンソフトの更新料を投資することになる)
もっとも雇用される側には無理に居たくもない会社にとどまる義務はない。社員が会社に根付かないのは経営側の失策であり、辞めた側を責めるのは経営者失格である。
まぁ、会社を潰した経営者落第生の私が失格云々言う資格はないのではあるが。


他に調べたところでは設備投資の額も大きく、リース代が月130万円するような機械を30台以上保有していた。
それらの設備を置く場所の賃貸料も月1000万ほどかけていた。


私の会社では工場の印刷機を除いて一番高い機材は月5万円でリースしていたカラープリンターなので、設備投資についても零細と大企業の差は雲泥の開きがある。


いずれにせよ200万円の資本では初期の設備投資さえまかなえないし、一ヵ月でも売上げが赤字になれば不渡りを出して即倒産してしまう。
私が利用する組織は企業ではありえないわけである。